寝ながら学べる構造主義
文春新書2004年秋のベスト・セレクションという帯がついていた。
著者は内田樹(うちだ・たつる)。 哲学の入門書は、頭の体操をしているような気持ちになるので時々読む。 この本は立ち読みしたときに、冒頭の章で下記の文章に目が止まったので、思わず購入した。 「ジョージ・ブッシュの反テロ戦略にも一理あるが、アフガンの市民たちの苦しみを思いやることも必要ではないか」というのは、街頭でいきなりTVにインタビューされた場合にとりあえず無難な「模範解答」です。人々はまるで判を押したように同じことを言います。「とりあえず無難」とみんなが思っている意見のことを「常識」というのです。そして、このような意見が「常識」となったのは、ほんとうにごく最近のことなのです。 世界の見え方は、視点が違えば違う。だから、ある視点にとどまったままで、「私には、他の人よりも正しく世界が見えている」と主張することは論理的には基礎づけられていない。私たちはいまではそう考えるようになっています。このような考え方の批評的な有効性を私たちに教えてくれたのは構造主義であり、それが「常識」に登録されたのは40年ほど前、1960年代のことです。 ”構造主義”という言葉は聞いたことがあっても、深く考えたことはなかった。 しかし、”構造主義”という方法については、すでに私は染まってしまっているのだ。 個性が大事と言われるが、そもそも「私」のオリジナルの考え方とか行動パターンとか、言えるものは全てあやしくなってくる。 さて、本は「寝ながら」と銘打つだけあって、読みやすい。 もともと、市民講座で話したことを膨らませた本なので、説明自体もたとえ話や事例がほどよく盛り込んであってわかりやすい。マルクス、フロイト、ニーチェ、ソシュール、フーコー、バルト、レヴィ=ストロース、ラカンの順番で話を進めていく。いまさらなのだが、哲学というのは、いわゆる哲学者だけの分野ではなく、精神医学、文化人類学をはじめ、さまざまな分野から影響を与えられている。 高校のとき「倫理」がこういう授業だったら、内職をしなかっただろうか。「捨てた」科目とはいえ、テストがひどい点数だったことを思い出す。 ここまで言ってよいのかはわからないが、雰囲気がわかるので、あとがきの一文をのせておく。 amazonのブックレビューでは、いろいろ意見が分かれるようだが、私は結構楽しく読めた。 レヴィ=ストロースは要するに「みんな仲良くしようね」と言っており、バルトは「ことばづかいで人は決まる」と言っており、ラカンは「大人になれよ」と言っており、フーコーは「私はバカは嫌いだ」と言っているのでした。
by neco5959
| 2004-11-13 23:47
| News&Books
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