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ねこブログ

『姜尚中の政治学入門』読む

姜尚中氏は、半年くらい前から急に気になり始めてきたが、
今回の本には、しびれっぱなし。
(この言葉を本を読んでいるときに何度口にしたことだろう!)
ですます調で書かれている入門書であるが、言うべきことは、短く判りやすい
言葉で、びしっと決めている。テレビや講演で話されるときと、文体は似るのだ
なあ、と改めて感じ入った。

いろいろなページの端を折ったのだが、特に感動したのは次の点。
私自身、シュミットがいう意味で、それがなくなってしまえば日本国憲法でなくなってしまうような原則は、三つあると考えています。
それは、平和主義、国民主権、そして基本的人権です。
これらの変更は、根本規範自体が変わるということであり、部分修正という話では済まされません。三原則の改正を、たとえば、環境権の設定や、プライバシーにかかわる新たな権利の設定などと同列に論じることはできないのです。
しかし、現状の改憲論議は、三つの根本規範の改正と、それ以外の法律的条項を変えることを混同し、進行しようとしています。
繰り返しますが、権力制定の主体としての国民の意思を確認できなかったことをもって、一旦できあがった日本国憲法を批判したところで、その独自の機能と正統性を否定することはできません。半世紀以上にわたり、日本国憲法の三つの根本規範を変える事態には至らなかったことの意味を考えてみるべきです。

三つの柱がなければ、日本国憲法は日本国憲法でない。
教科書を改めて読むような思いがする。
高校の授業で、歴史は面白く、公民はつまらなかった記憶があるのだが、こういう
つながり方がされたら、大学の進路も変わっていたに違いないと思う。
でも、そう思う背景には、9.11があり、イラク戦争があり、北朝鮮の拉致問題を
見てきているからなのだとも思う

また、あとがきで書かれる真摯な姿勢も感動。
百聞は第六感にしかず。でもその第六感は、人によって異なることがある。
(たとえば、姜さんの第六感と小泉首相のそれ)
なぜ異なるか。それは「歴史の時間に対する感覚の違いなのです」、と。
政治思想史の学者としてここまで言い切れる姿が素晴らしい。

ぜひぜひ、多くの人に読んでほしい。
『姜尚中の政治学入門』
by neco5959 | 2006-03-03 00:33 | News&Books
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白猫と一緒に暮らしていた(過去形です)、さそり座・B型。気になるNews、Books、HP探して、まったり&じっくり更新。twitterも@neco5959

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