ねこブログ

川上弘美「センセイの鞄」

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年末年始に時間があったので、読んだ本は「センセイの鞄」。
川上弘美の作品は好きなのだが、2001年に出た、この本についてはあまりにも(?)評判がよく、
「純愛小説」とかいって、もてはやされたので、”読まなかった”。
というのは、川上弘美は「幻想的な世界と日常が織り交ざったさまを描」く作家(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)で、その”よくわけがわからない”ところが私の好むところであって、30歳半ばの女性とと70歳位のセンセイとの純愛ものなんて、しかも世間一般に受けいれられるのだから、”わかりやすい”話に違いないと。
なんだか屈折していると思うのだが、せめて文庫本になるまでは読まないと思っていた。

で、最近文庫本となった。
昨年の春頃、この本がドラマ化されたとき、ふとチャンネルを合わせてしまったのだが、その時の情景(少々昭和風の居酒屋で湯豆腐をお酒を飲む場面)が、年末の一抹のさみしさを思い出させるような雰囲気だったのを覚えていたから。

で、読んだ。
後味はなかなか、悪くない。
やはり、異形なものや、時間の交錯が「いつものように」でてきて、ちゃんと川上弘美ワールドが展開していたからだ。もちろん、センセイとのつつましやかな、ある意味ではオヤジ的恋愛(居酒屋の日本酒で育まれる恋愛)、そして、小津映画または、カウンセリングを彷彿とさせるような会話(「歩きましょうか」「歩きましょう」などの同一言葉の反復)も悪くない。
そういう、素朴な切なさ的なものが受けたのかもしれないが、私が受けたのは、2人の間柄より、センセイの奥さんの話。
センセイの奥さんはとても奔放で、最後にはセンセイのところを「出奔」してしまった。
でもセンセイは、その妻にまだ温かい愛情を持っていると思われ、主人公に妻の話をしたり、墓に連れていったりする。
そのヘンテコさが絶妙。例えば、ワライタケの話。

センセイやその息子が止めるのもきかず、ハイキングで見つけた”ワライタケ”を食べて笑い続ける話。当事者は笑い続けるのだが、回りが憮然とする。症状がおさまり、センセイが妻を怒ると
「人がいきていくことって、誰かに迷惑をかけることなのね」としみじみ妻はいう。
違うだろ!っと突っ込みを入れたくなるが、現実世界でもこういうことをシャアシャアというとぼけた人間は結構いる。

「干潟ー夢」の章では、死んだ犬が妻に乗り移る。妻は「アン、アン」と言いつづける。
もちろん、センセイも息子も怒る。

現実にこんな奥さんがいれば、一緒には住みつづけられないだろうが、
その二人も、こんな話を受け入れているとは、実はかなり変わった人たちだ。
だから、主人公も比較的まともな同窓生に正攻法でアプローチされても、なんだか場違いのような感じになる。

小説だからあまり深く考え込まなくてもいいのだが、あえて道徳的に考えてみる。
主人公がこんな恋愛していて、将来不安とか、現実的で理性的な立場もあるかもしれない。、
でも「勝ち犬」になることが人生でもないだろう。
何回も読み直したくなるほどよいか、といったら微妙だが、星新一にも通じるストーリー展開、
今後も期待したい。

(参考)
記事を書くにあたって、参考にした、面白かったHPなど。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋
1994年、『神様』の第1回パスカル短編小説文学新人賞受賞でデビュー。
幻想的な世界と日常が織り交ざったさまを描き、また、女性を中心に据えた作品が多い。その作品から受ける世界観は空気感と呼ばれ、独特であると評される。代表作は、「神様」「センセイの鞄」。


フジテレビのドラマ「センセイの鞄」
小泉今日子が主役で、柄本明がセンセイ。
今さらながら見てみたい。結構いい配役だと思う。
特に樹木希林がセンセイの奥さん(スミヨ)役というのがいい。

貧乏レシピマニアックス
「川上弘美の小説。この本には、居酒屋でお酒を飲みたくなってくるよなメニューがたくさん出てくるのだ。でも自分の部屋で居酒屋気分を味わえるそんなレシピなどなどを。」とある。
これを参考にしたわけではないのだが、本の中に出てくる、「湯豆腐を作るとき、醤油をお酒で割って鰹節を入れたものを別容器にいれて一緒にぐつぐつ煮る」のを試してみた。
甘くなく、なかなかいい。それこそオジサンが好みそう。
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by neco5959 | 2005-01-02 23:17 | News&Books
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白猫と一緒に暮らしていた(過去形です)、さそり座・B型。気になるNews、Books、HP探して、まったり&じっくり更新。twitterも@neco5959
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