中野孝次『セネカ 現代人への手紙』前から何となく気になっていた本であったが、ようやく読むことができた。難しい本では全くない。ただ、30代の私が読むには、今ひとつピンと来ない(避けているのかもしれないが)。それは、「死」が、切実なテーマになっているからだ。 この本はセネカの言葉について、中野孝次が紹介した本の、第2弾。 セネカの「ルキリウスへの手紙」より抜粋をし、訳、解説や感想が書かれている形となっている。 さて、「死」について。 手紙24 我々は日々死んでいるのだ。ということは、人生の一部分は我々が成長しているとき でさえ一日一日と奪い去られているということだ。我々はまず幼年時代を失った、次に少年時代、最後に青年時代を。昨日という日まで、過ぎ去った時はすべてなくなったのだ。今我々が送っているこの日だって、我々はそれを死と分かち合っているのだ。・・・それまで長いあいだ我々は死に向かって歩みつづけてきたのだ。 手紙49 僕が死から逃げないように、生が僕から飛んで行かないように、配慮してください。困難に対して僕を勇気づけ、避くべからざるものに対して平静を与えてください。僕の時間の不足をひろげてください。人生の価値は生きた期間の長さにあるのでなく、その利用の仕方にあるのだと教えてください。長く生きた者が、実はごく僅かしか生きない者だったということは、起こりうること、いや、よく起ることなのですから。 中野孝次は食道ガンだったが、セネカの言葉のおかげで、告知を比較的平静に聞き、応答ができたという。つまり 運命が何をもたらすか、はかりしれない。人間に起ることは君の身にも起ると、つねに覚悟しておけ。それが、何であれいざそのものが来たとき狼狽せず落ち着いて対処できる唯一の道だ。 わが身といえども、からだは君の機能下にはなく、自然に属する。君はただその管理を委ねられているだけで、養生がよければ自然は満足しているが、悪ければ反逆して警告を発する。そのときは黙ってその声を聴き入れよ。 こういうセネカの教えに一年近く日々親しんでいたために、わが身がガンだと聞いたそのときも動転せず客観的に受け入れることができたのであった。 専門の学問をこのような形で、生き方に取り込むことができるのは、すばらしいことだと思う。 著者がもう既に世にいないことで、さらにこのあとがき、そして書物に重みが増している。 ただ文章は美しく、もうしばらくしたらまた読み返してみたい。 [追記] たまたま、人生のセイムスケールという面白い試みのサイトをみつけた。享年で、人物を列挙していき、同じくらいの年齢で亡くなった人たちの生き様の似た点を見つけてみる、という試みらしい。ちなみにセネカは69歳で亡くなっている。以下、冒頭部分を抜粋。 01-セイムスケール(空間のセイムスケール) 建築の世界では、新しい建物を計画する際、よく知られた古今東西の建物の平面図や立面図を同じサイズ、スケール(縮尺)で並べて空間の大きさや高さ、そしてコンセプトを比較するセイム スケールというプレゼンテーションの方法がある。 (中略) 02-人生のセイムスケール(時間のセイムスケール) それなら時間のセイムスケールを作ってみようと考えた。人生のセイムスケールである。時、あたかも2001年7月9日。 古今東西・老若男女の「存在と精神の系譜」を編年体でも、アイウエオ順でも、概念別でも、分野別でも、地域別でもなく、かといって恣意的な序列や順序、ランキング形式でもない、この世に存在した生涯日数のみで再配置してみるというもの。それにによって絶対的歴史年やジャンルの枠を飛び越える。 (後略)
by neco5959
| 2004-08-30 22:36
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